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『女装の王子様 Vol.2 』
- 2009.08.28 Friday
- 3.[感想]アンソロジー、雑誌、ムック
- 22:15
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- by shiroii
(光彩書房)
オール読み切りボーイズラブアンソロジー。Vol.1がまあまあ良かったので今回も購入。ええと、千円もする割になんか薄いんだけど…(内容じゃなくて物理的に、ページ数がね)。あんまり売れてないのかなぁ、このアンソロジーシリーズ。確かにネットでBLの話題を見回ってても光彩書房の名前が出てくることってあんまりないかも…? いや、単に光彩書房みたいなエロBLは密かに楽しんでる人が多いから話題になりにくいのかもしれない…。エロBLといえばジュネットなんかもそうだけど、ジュネットはエロ寄りのBLで、光彩書房はBL寄りのエロって感じがする…。
ああ、なんか話がそれた。さて、以下は1篇ずつの感想です。
オール読み切りボーイズラブアンソロジー。Vol.1がまあまあ良かったので今回も購入。ええと、千円もする割になんか薄いんだけど…(内容じゃなくて物理的に、ページ数がね)。あんまり売れてないのかなぁ、このアンソロジーシリーズ。確かにネットでBLの話題を見回ってても光彩書房の名前が出てくることってあんまりないかも…? いや、単に光彩書房みたいなエロBLは密かに楽しんでる人が多いから話題になりにくいのかもしれない…。エロBLといえばジュネットなんかもそうだけど、ジュネットはエロ寄りのBLで、光彩書房はBL寄りのエロって感じがする…。
ああ、なんか話がそれた。さて、以下は1篇ずつの感想です。
『M−エム− 7巻』新井理恵
- 2009.08.25 Tuesday
- 1.[感想]漫画単行本
- 23:18
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- by shiroii
(バーズコミックス/幻冬舎)
最終巻。最後までハラハラさせてくれました。
というか、ちゃんと完結したこと自体にとりあえず感動したりして。発表の場がウェブコミックっていうのが作者に合っているのかも。
新井理恵らしくグリグリネチネチと傷口をえぐってくる内容なんだけど、しかしゲラゲラ笑えるギャグのオンパレードでもあるのだった。ああ、笑った笑った。もぉ、途中から狩野が気の毒で気の毒で(笑) あと、駒居と高垣が見張ってたのにもかかわらず結局ひどいことになってる岩崎にもめちゃめちゃ笑った。駒居センセー、もうちょっと早く助けに入ってあげて! いや、この場合悪いのは高垣の方か。駒居を呼び出して自分は見てたんだもんなー。
狩野の気持ちも岩崎の気持ちも、自分にも覚えがあるものだったので、共感しつつも照れくさいような思いで読んだ。
「死んでほしい」って言われながら生き続けるのには、諦めと開き直りが1番よね、ホント。なんて、私もここ数年でようやくキッパリ諦めて、自分が楽しけりゃ良いじゃないか、と思えるようになったけど、それまではただひたすら耐える時期も、自己嫌悪にまみれた時期もあって、狩野が他人とは思えないのだった。まあ、狩野みたいな壮絶な生い立ちはないけどさ。
ああ、なんか上手く言葉にできないや。とにかく、もう1回1巻から読み返そう。それでもって、今回7巻を読んで「可愛いじゃないか…」と今さら思った千憂美をねっとりと愛でよう。そりゃ、この漫画で1番可愛いのは岩崎ちゃんだけどね!
最終巻。最後までハラハラさせてくれました。
というか、ちゃんと完結したこと自体にとりあえず感動したりして。発表の場がウェブコミックっていうのが作者に合っているのかも。
新井理恵らしくグリグリネチネチと傷口をえぐってくる内容なんだけど、しかしゲラゲラ笑えるギャグのオンパレードでもあるのだった。ああ、笑った笑った。もぉ、途中から狩野が気の毒で気の毒で(笑) あと、駒居と高垣が見張ってたのにもかかわらず結局ひどいことになってる岩崎にもめちゃめちゃ笑った。駒居センセー、もうちょっと早く助けに入ってあげて! いや、この場合悪いのは高垣の方か。駒居を呼び出して自分は見てたんだもんなー。
狩野の気持ちも岩崎の気持ちも、自分にも覚えがあるものだったので、共感しつつも照れくさいような思いで読んだ。
「死んでほしい」って言われながら生き続けるのには、諦めと開き直りが1番よね、ホント。なんて、私もここ数年でようやくキッパリ諦めて、自分が楽しけりゃ良いじゃないか、と思えるようになったけど、それまではただひたすら耐える時期も、自己嫌悪にまみれた時期もあって、狩野が他人とは思えないのだった。まあ、狩野みたいな壮絶な生い立ちはないけどさ。
ああ、なんか上手く言葉にできないや。とにかく、もう1回1巻から読み返そう。それでもって、今回7巻を読んで「可愛いじゃないか…」と今さら思った千憂美をねっとりと愛でよう。そりゃ、この漫画で1番可愛いのは岩崎ちゃんだけどね!
『ベリーベリー 1巻』日高万里
- 2009.08.21 Friday
- 1.[感想]漫画単行本
- 21:13
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- by shiroii
(花とゆめCOMICS/白泉社)
全14巻に及んだ『V・B・ローズ』が終了してから、間を置かず発売された日高万里の新作『ベリーベリー』。個人的に『V・B・ローズ』がちょっと不満足な出来に感じたので、その反動で『ベリーベリー』にはたいへん期待していた。期待していた……んだけど、ううーん。読んでいる間中、目が滑って仕方なかった。相変わらず可愛らしい絵柄で、可愛い女の子達がきゃっきゃしていて、その点では好ましいのだけど。
高校に入学したばかりの双子の姉妹が主人公。同じ学校に通う親友達と「困ってる女の子達の相談にのる“女の子の為の味方活動”」を始める。その活動には双子達の家のお隣に住む美少年2人も首を突っ込んできて……というお話。
高校生の女の子達が、同世代の女の子達の悩みを解決!っていう設定は有りだと思う。けど、通り魔だの遊園地の遊具損壊だの、関わる事件がいきなり重大すぎてひいてしまった。そういうのは警察に言いなよ…。素人の、しかも高校生が、自分達だけで動きまわるというのが納得できなくて、主人公達に共感できなかった。もしも逆上した犯人に大怪我を負わされたらどうするんだろう。いや、自分達が怪我をするだけならまだしも、警察への通報を怠ったせいで被害が拡大したら…?
いや、まあ、その辺は作者の計算通りで、最初は自分達の偏狭な考えにこだわっていた彼女らが作品を通して視野を広げていき、真に他人のことを考えられるようになっていくんだろうけど。
そういう狙いは理解できるのでこの点には目をつぶるとして、目が滑った1番の理由は、全体的なキャラクター(あるいは作者)のノリ。『V・B・ローズ』の最終巻の感想でも書いたけど、作者が描いてて楽しいのと読者が読んで楽しいのとは違うんだけどな…という感じ。日高作品に特有のいっぷう変わった擬音語や擬態語の多用、キャラクター同士の楽しげな絡み、「〜デスよ」などの独特なセリフ回し…これらが鼻についてしまう。コメディリリーフとしてなら大歓迎なんだけど、日高万里の長いキャリアの中で、だんだんとこれらの要素が作品に占める割合が高くなってきて、今はもう過剰になっていると感じる。もう少しメリハリがあれば良いのに。
ひょっとしたら、この漫画を読むのに私は歳をとりすぎているのだろうか。もっと年少の人が楽しむような作品なのかもしれない。無鉄砲な主人公達と一緒に成長していけるような。
ああ、ここでくじけるか、2巻も買ってみるか、迷うなぁ。主要キャラクターの1人でありながら、無口で謎めいている少年・近江歌丸くんがちょっと気になるんだよねぇ。彼に関するエピソードが入ってくれば、面白くなるかも…と思ったり。あと、双子達の親友の逸美ちゃんがすごく可愛い。日高作品の女の子は皆可愛いけど、ヒロインの友達は特に可愛いなぁ。……もう、いっそ、百合漫画描いてくれないかな…無理かな…白泉社と専属契約してるのかなぁ。
◆『V・B・ローズ14巻』の感想はこちら
◆『V・B・ローズ12巻』の感想はこちら
◆『V・B・ローズ11巻』の感想はこちら
全14巻に及んだ『V・B・ローズ』が終了してから、間を置かず発売された日高万里の新作『ベリーベリー』。個人的に『V・B・ローズ』がちょっと不満足な出来に感じたので、その反動で『ベリーベリー』にはたいへん期待していた。期待していた……んだけど、ううーん。読んでいる間中、目が滑って仕方なかった。相変わらず可愛らしい絵柄で、可愛い女の子達がきゃっきゃしていて、その点では好ましいのだけど。
高校に入学したばかりの双子の姉妹が主人公。同じ学校に通う親友達と「困ってる女の子達の相談にのる“女の子の為の味方活動”」を始める。その活動には双子達の家のお隣に住む美少年2人も首を突っ込んできて……というお話。
高校生の女の子達が、同世代の女の子達の悩みを解決!っていう設定は有りだと思う。けど、通り魔だの遊園地の遊具損壊だの、関わる事件がいきなり重大すぎてひいてしまった。そういうのは警察に言いなよ…。素人の、しかも高校生が、自分達だけで動きまわるというのが納得できなくて、主人公達に共感できなかった。もしも逆上した犯人に大怪我を負わされたらどうするんだろう。いや、自分達が怪我をするだけならまだしも、警察への通報を怠ったせいで被害が拡大したら…?
いや、まあ、その辺は作者の計算通りで、最初は自分達の偏狭な考えにこだわっていた彼女らが作品を通して視野を広げていき、真に他人のことを考えられるようになっていくんだろうけど。
そういう狙いは理解できるのでこの点には目をつぶるとして、目が滑った1番の理由は、全体的なキャラクター(あるいは作者)のノリ。『V・B・ローズ』の最終巻の感想でも書いたけど、作者が描いてて楽しいのと読者が読んで楽しいのとは違うんだけどな…という感じ。日高作品に特有のいっぷう変わった擬音語や擬態語の多用、キャラクター同士の楽しげな絡み、「〜デスよ」などの独特なセリフ回し…これらが鼻についてしまう。コメディリリーフとしてなら大歓迎なんだけど、日高万里の長いキャリアの中で、だんだんとこれらの要素が作品に占める割合が高くなってきて、今はもう過剰になっていると感じる。もう少しメリハリがあれば良いのに。
ひょっとしたら、この漫画を読むのに私は歳をとりすぎているのだろうか。もっと年少の人が楽しむような作品なのかもしれない。無鉄砲な主人公達と一緒に成長していけるような。
ああ、ここでくじけるか、2巻も買ってみるか、迷うなぁ。主要キャラクターの1人でありながら、無口で謎めいている少年・近江歌丸くんがちょっと気になるんだよねぇ。彼に関するエピソードが入ってくれば、面白くなるかも…と思ったり。あと、双子達の親友の逸美ちゃんがすごく可愛い。日高作品の女の子は皆可愛いけど、ヒロインの友達は特に可愛いなぁ。……もう、いっそ、百合漫画描いてくれないかな…無理かな…白泉社と専属契約してるのかなぁ。
◆『V・B・ローズ14巻』の感想はこちら
◆『V・B・ローズ12巻』の感想はこちら
◆『V・B・ローズ11巻』の感想はこちら
2009年9月の購入予定
- 2009.08.19 Wednesday
- 6.購入予定
- 22:07
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- by shiroii
予定は未定。必ず買うとは限らないけど多分買うであろう漫画のリストです。
帰省しておりました
- 2009.08.17 Monday
- 8.雑記
- 20:36
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- by shiroii
帰省のたびに思うけど、田舎は涼しい! 古い一軒家ってのは風通しが良いし。
今住んでいるところも田舎なんだけど、実家はもっとど田舎なので。
それでもって星が綺麗!
子供の頃には何とも思わなかったようなことが、年々身にしみるようになってくる。
盆休みが終わって帰宅するときに、いつもは途中まで船に乗り、港から我が家までは同居人に車で迎えに来てもらうのだけど、今回は携帯電話を持っていくのを忘れていたので迎えを呼べず、港から30分ほどかけて歩いて帰った。
公衆電話を使えばいいじゃない、とお思いだろうが、ふだん携帯電話に頼っていると電話番号なんて覚えちゃいないんですねー。
それほど距離があったわけではないんだけど、両肩に荷物を提げて、踵の高いミュール履きだったもんで、かなりくたびれた。いつも自転車に乗ってるので歩いたの自体が久々だったし。ちょいとマメはできたけど、良い運動になった。
とりあえず、携帯電話のアドレス帳だけでなくて、紙の手帳にも電話番号を書いておかなきゃいけないなぁ。
閑話休題
今年の盆休みも可愛い姪っこ達にさんざん付き合わされて疲労困憊だったわけだけど、小2の子が言った言葉でひとつ面白かったのが、「お姫様と人間は違うから」。
お姫様は人間じゃないのか……。こういうとき、彼女らの見ている世界を同じように感じてみたいな、と思う。
今住んでいるところも田舎なんだけど、実家はもっとど田舎なので。
それでもって星が綺麗!
子供の頃には何とも思わなかったようなことが、年々身にしみるようになってくる。
盆休みが終わって帰宅するときに、いつもは途中まで船に乗り、港から我が家までは同居人に車で迎えに来てもらうのだけど、今回は携帯電話を持っていくのを忘れていたので迎えを呼べず、港から30分ほどかけて歩いて帰った。
公衆電話を使えばいいじゃない、とお思いだろうが、ふだん携帯電話に頼っていると電話番号なんて覚えちゃいないんですねー。
それほど距離があったわけではないんだけど、両肩に荷物を提げて、踵の高いミュール履きだったもんで、かなりくたびれた。いつも自転車に乗ってるので歩いたの自体が久々だったし。ちょいとマメはできたけど、良い運動になった。
とりあえず、携帯電話のアドレス帳だけでなくて、紙の手帳にも電話番号を書いておかなきゃいけないなぁ。
閑話休題
今年の盆休みも可愛い姪っこ達にさんざん付き合わされて疲労困憊だったわけだけど、小2の子が言った言葉でひとつ面白かったのが、「お姫様と人間は違うから」。
お姫様は人間じゃないのか……。こういうとき、彼女らの見ている世界を同じように感じてみたいな、と思う。
『ベルとふたりで 1巻』伊藤黒介
- 2009.08.13 Thursday
- 1.[感想]漫画単行本
- 21:25
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(BAMBOO COMICS/竹書房)
7歳の女の子と7歳の飼い犬(グレートピレニーズ)の平凡なような非凡なような日常を描く4コマ漫画。小さな女の子と大きな犬との組み合わせは、絵面的にも非常にほのぼのとした感じがして可愛らしい。『あずまんが大王』のちよちゃんが飼っている忠吉さんも、そういえばグレートピレニーズだったなぁ。実際に小さな女の子に超大型犬が扱えるのかはわからないけれど。
登場人物達の日常の一コマを淡いタッチで描いた表紙からは、まさにほのぼのとした優しい物語のような印象を受けるのだけど、実際の内容は裏表紙の方によく表れている。子供らしいおバカな賑やかさと、それに同レベルで混じって騒ぐ犬と。犬は人間の最良の友だとか、最も古い友だとか言われるけど、確かに犬のベルは作中で擬人化されているわけでも人語を喋るわけでもないのに、7歳児の集団の中に全く友人として溶け込んでいるのだった。
明るく元気でばかばかしく、たびたび声を上げて笑える面白いギャグ漫画だった。個人的には主人公・すずの親友で「傍観者」のアキちゃんが気に入った。彼女の表情のない顔、感情を表さない言動が、何やらクセになる。こともなげにテストで満点をとる秀才でありながら、すずのおバカにも本気で付き合う。空気のような彼女の存在が心地よい安心感を与えてくれる。ただ一度、第12話の彼女は喜びをあらわにしている箇所があって、それには読んでいて違和感を覚えたが、けれども彼女の内面やら人物像やらに深く考えをめぐらせてみれば、意外な一面に却って萌えるようにも思うのだった。萌えって想像力(妄想力)の結晶でもあるなぁ。
7歳の女の子と7歳の飼い犬(グレートピレニーズ)の平凡なような非凡なような日常を描く4コマ漫画。小さな女の子と大きな犬との組み合わせは、絵面的にも非常にほのぼのとした感じがして可愛らしい。『あずまんが大王』のちよちゃんが飼っている忠吉さんも、そういえばグレートピレニーズだったなぁ。実際に小さな女の子に超大型犬が扱えるのかはわからないけれど。
登場人物達の日常の一コマを淡いタッチで描いた表紙からは、まさにほのぼのとした優しい物語のような印象を受けるのだけど、実際の内容は裏表紙の方によく表れている。子供らしいおバカな賑やかさと、それに同レベルで混じって騒ぐ犬と。犬は人間の最良の友だとか、最も古い友だとか言われるけど、確かに犬のベルは作中で擬人化されているわけでも人語を喋るわけでもないのに、7歳児の集団の中に全く友人として溶け込んでいるのだった。
明るく元気でばかばかしく、たびたび声を上げて笑える面白いギャグ漫画だった。個人的には主人公・すずの親友で「傍観者」のアキちゃんが気に入った。彼女の表情のない顔、感情を表さない言動が、何やらクセになる。こともなげにテストで満点をとる秀才でありながら、すずのおバカにも本気で付き合う。空気のような彼女の存在が心地よい安心感を与えてくれる。ただ一度、第12話の彼女は喜びをあらわにしている箇所があって、それには読んでいて違和感を覚えたが、けれども彼女の内面やら人物像やらに深く考えをめぐらせてみれば、意外な一面に却って萌えるようにも思うのだった。萌えって想像力(妄想力)の結晶でもあるなぁ。
『カンゴク69』阿仁谷ユイジ
- 2009.08.09 Sunday
- 2.[感想]BL漫画単行本
- 23:17
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- by shiroii
(ジュネットコミックス ピアスシリーズ/ジュネット)
阿仁谷ユイジがジュネットで…!! どんなエロエロになってるのかしら♪と期待にワクワクしながら読んでみたら……素晴らしい! さすがに期待を裏切らない!! どちらかというとエロ面白いのを予想していたのだけど、思いがけずエロ切ない物語で、不意打ちをくらってメロメロになってしまった。
『ナイチンゲールは夜に啼く』と『カンゴク69』の2本立て。前者が切ない感じで、後者はコメディ色強し。かなりこまごまと感想を書いたので、ネタバレ気味です。お気をつけ下さい。
『ナイチンゲールは夜に啼く』は、オスカー・ワイルドの『ナイチンゲールとバラ』をモチーフにした話。夜ごと愛の歌を歌いながら本当の愛や恋を知らなかったナイチンゲールが「真実の恋」のために自らを捧げるあの悲しい物語を、阿仁谷ユイジ流のBLにし、しかもハッピーエンドを見せてくれる。かつて『ナイチンゲールとバラ』を読んだとき、その報われないラストに呆然とし、無垢で哀れなナイチンゲールを救ってやりたいと思ったものだ。だから、この漫画のナイチンゲールである主人公・愛仁の恋の成就がいっそう嬉しく感じられた。ナイチンゲールに愛の報いを、真実の恋を与えてくれたことに、感謝したい気持ちにさえなった。
そして、ナイチンゲールと並んで重要な存在のバラ。こちらは『ナイチンゲールとバラ』とは大きく違って、直接の筋立てには深く関わってこない。衛太郎に一目惚れした愛仁の目に、バラが咲き乱れて見えるのだ。恋に落ちたことを表現するのに、背景に花を咲かせるなんて、言葉で説明すれば古典的な、よくある表現のようだが、いやいや、ぜひ実際に漫画を見てほしい! これがものすごく美しく、印象的なのだ。さらに、愛仁が衛太郎を見たり、恋に悩んだりするたびにバラが描かれ、作中でバラが真実の恋と愛の象徴であることを印象づける。原案とは違ったオリジナルな用い方でありながら、その意味するところは変わらず伝えていて、阿仁谷ユイジの抜群のセンスの良さを感じた。
まだ感想文は続きますが、長くなったので一旦たたんでおきます。「続きを読む」から続きをどうぞ。
阿仁谷ユイジがジュネットで…!! どんなエロエロになってるのかしら♪と期待にワクワクしながら読んでみたら……素晴らしい! さすがに期待を裏切らない!! どちらかというとエロ面白いのを予想していたのだけど、思いがけずエロ切ない物語で、不意打ちをくらってメロメロになってしまった。
『ナイチンゲールは夜に啼く』と『カンゴク69』の2本立て。前者が切ない感じで、後者はコメディ色強し。かなりこまごまと感想を書いたので、ネタバレ気味です。お気をつけ下さい。
『ナイチンゲールは夜に啼く』は、オスカー・ワイルドの『ナイチンゲールとバラ』をモチーフにした話。夜ごと愛の歌を歌いながら本当の愛や恋を知らなかったナイチンゲールが「真実の恋」のために自らを捧げるあの悲しい物語を、阿仁谷ユイジ流のBLにし、しかもハッピーエンドを見せてくれる。かつて『ナイチンゲールとバラ』を読んだとき、その報われないラストに呆然とし、無垢で哀れなナイチンゲールを救ってやりたいと思ったものだ。だから、この漫画のナイチンゲールである主人公・愛仁の恋の成就がいっそう嬉しく感じられた。ナイチンゲールに愛の報いを、真実の恋を与えてくれたことに、感謝したい気持ちにさえなった。
そして、ナイチンゲールと並んで重要な存在のバラ。こちらは『ナイチンゲールとバラ』とは大きく違って、直接の筋立てには深く関わってこない。衛太郎に一目惚れした愛仁の目に、バラが咲き乱れて見えるのだ。恋に落ちたことを表現するのに、背景に花を咲かせるなんて、言葉で説明すれば古典的な、よくある表現のようだが、いやいや、ぜひ実際に漫画を見てほしい! これがものすごく美しく、印象的なのだ。さらに、愛仁が衛太郎を見たり、恋に悩んだりするたびにバラが描かれ、作中でバラが真実の恋と愛の象徴であることを印象づける。原案とは違ったオリジナルな用い方でありながら、その意味するところは変わらず伝えていて、阿仁谷ユイジの抜群のセンスの良さを感じた。
まだ感想文は続きますが、長くなったので一旦たたんでおきます。「続きを読む」から続きをどうぞ。
『でもくらちゃん』なかせよしみ
- 2009.08.06 Thursday
- 1.[感想]漫画単行本
- 23:17
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(RYU COMICS/徳間書店)
昭和20年出茂倉家に一組の双子が生まれた
昭和42年双子は同日にそれぞれまた双子の母となった
平成に入ってこの4人は同時に子供を授かった
しかも今度は全組が三つ子
(以上、本編冒頭より)
……というわけで、そっくりな12人の出茂倉家の娘達(幼稚園児)を描くコメディ。1話1話は数ページの短いもので、それが次から次へと繰り出される。読んでも読んでも「でもくらちゃん」…という感じで、終わらない出茂倉ワールドに取り込まれたような気分で読んだ。だもんで、たいへんお得感のある1冊。
また、短い話がたくさん収録されていることで、『でもくらちゃん』の持つ“繰り返しの面白さ”がいっそう強調されていて良かった。12人のそっくり娘達が、揃って同じ行動をする(あるいは、その中で1人だけ違う動きをする)ことで生まれる可笑しさが、それが繰り返されることでじわじわ深まっていく。12人のそっくりさん、という一事がずっと描かれているだけなのに、まったく退屈でなく、飽きさせない。それどころか、いつまでも読んでいたい気にさせる。そんな繰り返される世界の中で、最後には思いがけない驚きも用意されていて、とても上手い、センスの良い作品だった。
今はまったく一心同体の出茂倉家の娘達、やがて成長していくにつれ、アイデンティティ云々で悩むこともあるでしょう。でも、この漫画の中では、まるで“12人で一個の生き物”である「でもくらちゃん」はなんだか幸せそうで、ほのぼのと楽しい気持ちにさせてくれた。
この単行本は、自費出版の個人誌や、雑誌に描いたものの選り抜き作品集ということだけど、すごく面白かったので、ぜひ2巻も出してほしい。
昭和20年出茂倉家に一組の双子が生まれた
昭和42年双子は同日にそれぞれまた双子の母となった
平成に入ってこの4人は同時に子供を授かった
しかも今度は全組が三つ子
(以上、本編冒頭より)
……というわけで、そっくりな12人の出茂倉家の娘達(幼稚園児)を描くコメディ。1話1話は数ページの短いもので、それが次から次へと繰り出される。読んでも読んでも「でもくらちゃん」…という感じで、終わらない出茂倉ワールドに取り込まれたような気分で読んだ。だもんで、たいへんお得感のある1冊。
また、短い話がたくさん収録されていることで、『でもくらちゃん』の持つ“繰り返しの面白さ”がいっそう強調されていて良かった。12人のそっくり娘達が、揃って同じ行動をする(あるいは、その中で1人だけ違う動きをする)ことで生まれる可笑しさが、それが繰り返されることでじわじわ深まっていく。12人のそっくりさん、という一事がずっと描かれているだけなのに、まったく退屈でなく、飽きさせない。それどころか、いつまでも読んでいたい気にさせる。そんな繰り返される世界の中で、最後には思いがけない驚きも用意されていて、とても上手い、センスの良い作品だった。
今はまったく一心同体の出茂倉家の娘達、やがて成長していくにつれ、アイデンティティ云々で悩むこともあるでしょう。でも、この漫画の中では、まるで“12人で一個の生き物”である「でもくらちゃん」はなんだか幸せそうで、ほのぼのと楽しい気持ちにさせてくれた。
この単行本は、自費出版の個人誌や、雑誌に描いたものの選り抜き作品集ということだけど、すごく面白かったので、ぜひ2巻も出してほしい。
『おとこのこは魔法』さかもと麻乃
- 2009.08.03 Monday
- 1.[感想]漫画単行本
- 22:09
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- by shiroii
(バーズコミックスガールズコレクション/幻冬舎)
7篇収録の短編集。どの話もアイデアに満ちていて、ファンタスティックかつキュート。すごく好み。あまりにも好みにピッタリすぎて、妙な嫉妬心がわいてしまうほど(なんでこの物語を考えたのが私じゃないんだろう!なんてね。作家でもないくせに/笑)。
中でも私が特に気に入ったのは、おしゃまな女の子2人の友情を描いた『LESSON』。晩春の空からワタ虫が降り注ぐ中、びょんびょんと跳びはねるはりがねキリンにまたがって、宙に浮かぶ学校に通う子供達。不恰好なはりがねキリンを嫌って、空飛ぶよつばのクローバーで登校しようとするヒロイン・麦ようこ。それを邪魔するクラスメイトの桜チーズ。……何の説明もなく描かれるそんな不思議な作品世界に、いっぺんに虜になってしまった。最初は、これはたとえば昆虫の世界を擬人化したような、何かの比喩なのかしら…と思いながら読み始めたのだけど、最後まで読んでもこの不思議な設定に対する説明なんてなくて、ただただこういう世界の物語として描かれていて、それが却って私には好ましく思えた。どんな世界でだって女の子は背伸びしながら大人になっていくのだ。クールを気取っていた麦ようこが、うわぁんと泣き出す様子は最高に可愛らしかった。そんな彼女を諭した桜チーズの、無表情での思いがけない告白も、私の胸をきゅんと貫いた。
著者の百合漫画『リスランタンプティフルール』を読んだときにも感じたけれど、女の子の可愛らしさを描くのがすごく上手いなぁ、と思う。それも、ただ甘いだけの砂糖みたいな女の子じゃなくて、甘みの中にスパイスの刺激や爽やかな酸味が隠れている、美味しいお菓子みたいな女の子だ。たとえば『マリヤさんとキテレツなピース』のヒロイン・マリヤさんも、のほほんとした笑顔で、辺りにふわふわと花を飛ばしながら、「平和を守るってとてもキテレツなことなのよ」なんて実に鋭い言葉を口にするのだ。なんて魅力的な、素敵な女の子だろうか!
明確に女の子同士の恋愛を描いた作品が収録されているわけではないけれど、『リスランタンプティフルール』が好きな人にはぜひこのコミックスもお薦めしたい。前述の『LESSON』もそうだし、天使の女の子同士の友情と恋情とのあわいにある想いを描いた『大天使のソウルフード』も、きっとお気に入りの作品になるだろう。
7篇すべてそれぞれに面白くて、長々と感想を書き綴ってしまいそうなのだけど、私の下手な感想文なんて読むより、実際にコミックスを読んでもらいたい(それを言いだしたらこのブログの存在理由がなくなっちゃいそうだけど…)。こんなに自分の心にピッタリとはまって、心地よく楽しめる短編集なんてそうはない、と思うくらいハマった。ファンタジー、不思議な世界が好きな多くの人に読まれれば良いな、と思う。そして、百合にBLに一般作品にと広く活動されている著者には、お忙しいだろうけれども、こういう味わいの短編をぜひ今後も描き続けていただきたいと思う。
◆『リスランタンプティフルール』の感想はこちら
7篇収録の短編集。どの話もアイデアに満ちていて、ファンタスティックかつキュート。すごく好み。あまりにも好みにピッタリすぎて、妙な嫉妬心がわいてしまうほど(なんでこの物語を考えたのが私じゃないんだろう!なんてね。作家でもないくせに/笑)。
中でも私が特に気に入ったのは、おしゃまな女の子2人の友情を描いた『LESSON』。晩春の空からワタ虫が降り注ぐ中、びょんびょんと跳びはねるはりがねキリンにまたがって、宙に浮かぶ学校に通う子供達。不恰好なはりがねキリンを嫌って、空飛ぶよつばのクローバーで登校しようとするヒロイン・麦ようこ。それを邪魔するクラスメイトの桜チーズ。……何の説明もなく描かれるそんな不思議な作品世界に、いっぺんに虜になってしまった。最初は、これはたとえば昆虫の世界を擬人化したような、何かの比喩なのかしら…と思いながら読み始めたのだけど、最後まで読んでもこの不思議な設定に対する説明なんてなくて、ただただこういう世界の物語として描かれていて、それが却って私には好ましく思えた。どんな世界でだって女の子は背伸びしながら大人になっていくのだ。クールを気取っていた麦ようこが、うわぁんと泣き出す様子は最高に可愛らしかった。そんな彼女を諭した桜チーズの、無表情での思いがけない告白も、私の胸をきゅんと貫いた。
著者の百合漫画『リスランタンプティフルール』を読んだときにも感じたけれど、女の子の可愛らしさを描くのがすごく上手いなぁ、と思う。それも、ただ甘いだけの砂糖みたいな女の子じゃなくて、甘みの中にスパイスの刺激や爽やかな酸味が隠れている、美味しいお菓子みたいな女の子だ。たとえば『マリヤさんとキテレツなピース』のヒロイン・マリヤさんも、のほほんとした笑顔で、辺りにふわふわと花を飛ばしながら、「平和を守るってとてもキテレツなことなのよ」なんて実に鋭い言葉を口にするのだ。なんて魅力的な、素敵な女の子だろうか!
明確に女の子同士の恋愛を描いた作品が収録されているわけではないけれど、『リスランタンプティフルール』が好きな人にはぜひこのコミックスもお薦めしたい。前述の『LESSON』もそうだし、天使の女の子同士の友情と恋情とのあわいにある想いを描いた『大天使のソウルフード』も、きっとお気に入りの作品になるだろう。
7篇すべてそれぞれに面白くて、長々と感想を書き綴ってしまいそうなのだけど、私の下手な感想文なんて読むより、実際にコミックスを読んでもらいたい(それを言いだしたらこのブログの存在理由がなくなっちゃいそうだけど…)。こんなに自分の心にピッタリとはまって、心地よく楽しめる短編集なんてそうはない、と思うくらいハマった。ファンタジー、不思議な世界が好きな多くの人に読まれれば良いな、と思う。そして、百合にBLに一般作品にと広く活動されている著者には、お忙しいだろうけれども、こういう味わいの短編をぜひ今後も描き続けていただきたいと思う。
◆『リスランタンプティフルール』の感想はこちら
2009年7月に買った本
- 2009.08.01 Saturday
- 7.購入記録
- 21:27
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- by shiroii
7月に買った漫画その他の記録。画像は7月に買った漫画で手近な床に積んであったものです。リンクは感想記事です。
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- 『女装の王子様 Vol.2 』 (08/28)
- 『M−エム− 7巻』新井理恵 (08/25)
- 『ベリーベリー 1巻』日高万里 (08/21)
- 2009年9月の購入予定 (08/19)
- 帰省しておりました (08/17)
- 『ベルとふたりで 1巻』伊藤黒介 (08/13)
- 『カンゴク69』阿仁谷ユイジ (08/09)
- 『でもくらちゃん』なかせよしみ (08/06)
- 『おとこのこは魔法』さかもと麻乃 (08/03)
- 2009年7月に買った本 (08/01)
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