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あたし彼女 kiki
- 2008.09.29 Monday
- 4.[感想]小説など
- 23:08
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- by shiroii
第3回日本ケータイ小説大賞受賞作。
初めてケータイ小説を読みました! 恋空も赤い糸も読んでないんだけど、日参している雑文サイトで『あたし彼女』がネタにされていたので、どんなものなのか読んでみようと思いまして…。2日がかりで読み通したけど、ちょっと疲れました(笑) 紙の本でならあっという間に読み終わりそうだけど、ケータイで1ページずつ読むのがめんどくさくて堪らなかった。
お話は思ったより悪くなかった。でもヒロインのアキにも、相手役のトモにもあんまり魅力を感じなかったけど…。アキは自己中でバカだし、トモも基本的に自分のことしか考えてないし。2人とも好きだなんだと言ってるわりに互いの話を全然聞かないし、自分の思うことを相手に伝えようともしないのが、理解できなかった。それとも世の恋人同士ってのはこんなものなのかしら。
実は、読みながら、改心したアキがトモと良い感じになったとこでまた昔の男絡みで刺されるんじゃないか…なんて予想してたんだけど、ハズレたなぁ。いやぁ、ケータイ小説ってよく知らないんだけど、やたら人死にするイメージがあったもんで…。でも、この予想がハズレたのは却って好印象でした。正直、人死にで安易に盛り上げるのがこういうケータイ小説の常套なんだろうと思っていたので。人死にという点では、流産するけれど、あれはこれまでの中絶のことなんかを考えるとアキの自業自得だよなー、と自然に納得できる感じだったので、悪い展開じゃなかった。アキ自身も反省しているし。
独特の文体、体裁については、ケータイ小説ってのはこういうものなんだろうという理解で読んだので、あれが悪いとは思わなかった。ちょっと神戸あやか(花井愛子)の少女小説を思い出した。若者言葉の一人称文体で、バシバシ改行しててページの下半分は真っ白!という。昔、神戸あやかのKAORIシリーズを姉が持ってて、私も借りて読んでたんだけど、けっこう好きでした。そりゃ、『あたし彼女』の方はプロの作家と違って、若者言葉じゃなく単なる間違いだろうという箇所もけっこうあったので、それは気になった。
全体的な印象としては、若い人の恋愛ブログに似ているな、ということと、少女漫画のモノローグをそのまんま文章にしたみたいだな、ということ。
個人的な好みとしては、わざわざ読みたいか、と言われると「否」なんだけど、体裁がこれまでの小説と違うから、という理由だけで批判することはないだろうと思う。ケータイでちょっとずつ更新されるのを読むのが1番読みやすいし、そういう読み方に向いた文章なんだろうと思う。
「ケータイ小説」という名称だから、小説らしくないことが気になるんじゃないかなぁ。もちろん、普通の小説をケータイで発表している人もたくさんいるでしょうから、そういうのは「ケータイ小説」と呼んで、『あたし彼女』みたいな恋愛ブログ的なものは別の呼称にすればいいんじゃないかしら。「ケータイストーリー」とか? 「ケータイコイバナ」とか? いやー、なんか、私のセンスでは思いつかないけど(笑)
初めてケータイ小説を読みました! 恋空も赤い糸も読んでないんだけど、日参している雑文サイトで『あたし彼女』がネタにされていたので、どんなものなのか読んでみようと思いまして…。2日がかりで読み通したけど、ちょっと疲れました(笑) 紙の本でならあっという間に読み終わりそうだけど、ケータイで1ページずつ読むのがめんどくさくて堪らなかった。
お話は思ったより悪くなかった。でもヒロインのアキにも、相手役のトモにもあんまり魅力を感じなかったけど…。アキは自己中でバカだし、トモも基本的に自分のことしか考えてないし。2人とも好きだなんだと言ってるわりに互いの話を全然聞かないし、自分の思うことを相手に伝えようともしないのが、理解できなかった。それとも世の恋人同士ってのはこんなものなのかしら。
実は、読みながら、改心したアキがトモと良い感じになったとこでまた昔の男絡みで刺されるんじゃないか…なんて予想してたんだけど、ハズレたなぁ。いやぁ、ケータイ小説ってよく知らないんだけど、やたら人死にするイメージがあったもんで…。でも、この予想がハズレたのは却って好印象でした。正直、人死にで安易に盛り上げるのがこういうケータイ小説の常套なんだろうと思っていたので。人死にという点では、流産するけれど、あれはこれまでの中絶のことなんかを考えるとアキの自業自得だよなー、と自然に納得できる感じだったので、悪い展開じゃなかった。アキ自身も反省しているし。
独特の文体、体裁については、ケータイ小説ってのはこういうものなんだろうという理解で読んだので、あれが悪いとは思わなかった。ちょっと神戸あやか(花井愛子)の少女小説を思い出した。若者言葉の一人称文体で、バシバシ改行しててページの下半分は真っ白!という。昔、神戸あやかのKAORIシリーズを姉が持ってて、私も借りて読んでたんだけど、けっこう好きでした。そりゃ、『あたし彼女』の方はプロの作家と違って、若者言葉じゃなく単なる間違いだろうという箇所もけっこうあったので、それは気になった。
全体的な印象としては、若い人の恋愛ブログに似ているな、ということと、少女漫画のモノローグをそのまんま文章にしたみたいだな、ということ。
個人的な好みとしては、わざわざ読みたいか、と言われると「否」なんだけど、体裁がこれまでの小説と違うから、という理由だけで批判することはないだろうと思う。ケータイでちょっとずつ更新されるのを読むのが1番読みやすいし、そういう読み方に向いた文章なんだろうと思う。
「ケータイ小説」という名称だから、小説らしくないことが気になるんじゃないかなぁ。もちろん、普通の小説をケータイで発表している人もたくさんいるでしょうから、そういうのは「ケータイ小説」と呼んで、『あたし彼女』みたいな恋愛ブログ的なものは別の呼称にすればいいんじゃないかしら。「ケータイストーリー」とか? 「ケータイコイバナ」とか? いやー、なんか、私のセンスでは思いつかないけど(笑)
空色動画 2巻 片山ユキヲ
- 2008.09.27 Saturday
- 1.[感想]漫画単行本
- 20:48
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- by shiroii
空色動画 2巻
片山ユキヲ
(シリウスKC/講談社)
熱い! サイコーに熱い!
長じるに連れて「オタクでキモい」なんて認識を植え付けられてきたけれど、幼い頃には皆で好きなアニメやゲームのキャラクターの絵を描いて見せ合ったことがあるだろうし、上手い子は皆の尊敬を集めていたと思う。描くことはきっと誰の内にもある衝動だ。人類は誰に教えられるでもなく、絵を描き残してきた。喜びを悲しみを、熱い衝動を形にしてきたんだ。
「人類」なんて大げさな言い方かもしれないけど、この『空色動画』の2巻を読んで私が思い出したのは、『ごみすて場の原始人』という児童書だった。ごみすて場の穴に落っこちた少年が、そこに隠れ住んでいた原始人スティッグと出会い、友達になって一緒にいろんなことをするお話だ。子供の頃に読んだきりなので物語の筋は覚えていないが、スティッグがいきいきと、情熱的に、狩りの絵を描いていた場面を覚えている。それと、少年とスティッグが、ごみを利用して2人の隠れ家を作る場面も。協力して何かを作るって、なんて楽しそうなことか! これはアニメだって同じじゃないか!
一緒に創作することの楽しさをたっぷり感じさせてくれる『空色動画』だけど、1巻のときから違和感というか危うさを感じているのが、3人の関係、特に、ヤスキチのジョンとノンタに対する距離感。私の考えすぎかもしれないけど、友達付き合いに不慣れなヤスキチは、2人との適切な距離をはかれずにいるのじゃないか。「一緒に作るって楽しい!」という今の状態から、もう少し心の深いところに入り込むような展開に、今後なるのかもしれない、と思う。
(『ごみすて場の原始人』は現在絶版ですが、『ぼくと原始人ステッグ』という改題改訳版が福音館書店から出ています。)
◆1巻の感想はこちら
片山ユキヲ
(シリウスKC/講談社)
熱い! サイコーに熱い!
長じるに連れて「オタクでキモい」なんて認識を植え付けられてきたけれど、幼い頃には皆で好きなアニメやゲームのキャラクターの絵を描いて見せ合ったことがあるだろうし、上手い子は皆の尊敬を集めていたと思う。描くことはきっと誰の内にもある衝動だ。人類は誰に教えられるでもなく、絵を描き残してきた。喜びを悲しみを、熱い衝動を形にしてきたんだ。
「人類」なんて大げさな言い方かもしれないけど、この『空色動画』の2巻を読んで私が思い出したのは、『ごみすて場の原始人』という児童書だった。ごみすて場の穴に落っこちた少年が、そこに隠れ住んでいた原始人スティッグと出会い、友達になって一緒にいろんなことをするお話だ。子供の頃に読んだきりなので物語の筋は覚えていないが、スティッグがいきいきと、情熱的に、狩りの絵を描いていた場面を覚えている。それと、少年とスティッグが、ごみを利用して2人の隠れ家を作る場面も。協力して何かを作るって、なんて楽しそうなことか! これはアニメだって同じじゃないか!
一緒に創作することの楽しさをたっぷり感じさせてくれる『空色動画』だけど、1巻のときから違和感というか危うさを感じているのが、3人の関係、特に、ヤスキチのジョンとノンタに対する距離感。私の考えすぎかもしれないけど、友達付き合いに不慣れなヤスキチは、2人との適切な距離をはかれずにいるのじゃないか。「一緒に作るって楽しい!」という今の状態から、もう少し心の深いところに入り込むような展開に、今後なるのかもしれない、と思う。
(『ごみすて場の原始人』は現在絶版ですが、『ぼくと原始人ステッグ』という改題改訳版が福音館書店から出ています。)
◆1巻の感想はこちら
『かわいいビースト』『エトワ』つげ雨夜
- 2008.09.24 Wednesday
- 2.[感想]BL漫画単行本
- 20:06
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- by shiroii
かわいいビースト
つげ雨夜
(花音コミックス/芳文社)
エトワ
つげ雨夜
(ダリアコミックス/フロンティアワークス)
2冊続けて読みました。まずは『かわいいビースト』を、その後『エトワ』を。どちらも同じ作者のBL漫画です。
『かわいいビースト』は短編5篇と表題作の描き下ろしおまけ収録の短編集。1篇あたりが短いせいか、どの話も、実は相思相愛だったんだねー、という展開が唐突に感じられた。「好きだ」「実は俺も」で、チューしたりとか。ドキドキしたりときめいたりするヒマもない…。あらすじ読まされてるみたいで情緒がないというか…。
絵柄も、表題作と『ほんきなのは愛のせい』はそうでもないと思うけど、他の3篇は特徴がなくて垢抜けない印象を持った。通信講座とかのカットイラストみたいな…。
あんまりヒットしなかったな…とやや落胆しつつ読み始めた『エトワ』の方は、いや、なかなか面白かった。絵に色気も出てたし。
こちらは無関係な短編が1篇入ってる以外は全て表題シリーズで、じっくり描かれている分、キャラクターに愛着を持って読めた。主人公のコクヨウが、エトワ(愛玩用人造人間)の少年・シロに愛情を抱くようになる過程がきちんと描かれているのが良かった。最初はうっとうしく感じていたけれど、一緒に暮らすうちに情が移り、やがて…という。嫌いから始まる恋ってのは定番だけど、ときめく。だんだん好きになっていく様が可愛いし、読んでるこっちも嬉しいものだ。
ざっくり言うなら人間とロボットの恋物語なんだけど、ロボット相手に恋をすることとか、ロボットの持つ感情は本物なのかとか、そういう、この手の話なら問題にしそうなところはさらりとスルー。えー、いいんだー、と思わないでもないけど、その辺を完全ファンタジー扱いしてる分、深刻になりすぎずに可愛い話として読めて良かったのかも。正直私も、2人がヤっちゃうシーンでは、シロが人間じゃないことよりも、まだ子供のような少年の姿であることの方が気になったくらいだし。おいおい、そんな子供に手を出しちゃうのかい…と(笑)
ま、人間じゃないことを気にしない代わりに、ちゃんと別の問題を用意して切ない展開も見せてくれたんで、それで満足ですよ。
ところで、「エトワ」はエトワール(フランス語で星)から来てるのかな、と思うんだけど、なぜ人造人間を指す言葉が「レプリカント」なんだろう…アンドロイドとかヒューマノイドとかの方が一般的な言葉のような…。「レプリ」の方が響きが良いからかな。別にガチガチのSF漫画じゃないし、構わないんだけども。
それにしてもエトワの少年たちは可愛いなぁ! 私も少年型エトワが欲しいわ。そして一心に慕われたいわ。
つげ雨夜
(花音コミックス/芳文社)
エトワ
つげ雨夜
(ダリアコミックス/フロンティアワークス)
2冊続けて読みました。まずは『かわいいビースト』を、その後『エトワ』を。どちらも同じ作者のBL漫画です。
『かわいいビースト』は短編5篇と表題作の描き下ろしおまけ収録の短編集。1篇あたりが短いせいか、どの話も、実は相思相愛だったんだねー、という展開が唐突に感じられた。「好きだ」「実は俺も」で、チューしたりとか。ドキドキしたりときめいたりするヒマもない…。あらすじ読まされてるみたいで情緒がないというか…。
絵柄も、表題作と『ほんきなのは愛のせい』はそうでもないと思うけど、他の3篇は特徴がなくて垢抜けない印象を持った。通信講座とかのカットイラストみたいな…。
あんまりヒットしなかったな…とやや落胆しつつ読み始めた『エトワ』の方は、いや、なかなか面白かった。絵に色気も出てたし。
こちらは無関係な短編が1篇入ってる以外は全て表題シリーズで、じっくり描かれている分、キャラクターに愛着を持って読めた。主人公のコクヨウが、エトワ(愛玩用人造人間)の少年・シロに愛情を抱くようになる過程がきちんと描かれているのが良かった。最初はうっとうしく感じていたけれど、一緒に暮らすうちに情が移り、やがて…という。嫌いから始まる恋ってのは定番だけど、ときめく。だんだん好きになっていく様が可愛いし、読んでるこっちも嬉しいものだ。
ざっくり言うなら人間とロボットの恋物語なんだけど、ロボット相手に恋をすることとか、ロボットの持つ感情は本物なのかとか、そういう、この手の話なら問題にしそうなところはさらりとスルー。えー、いいんだー、と思わないでもないけど、その辺を完全ファンタジー扱いしてる分、深刻になりすぎずに可愛い話として読めて良かったのかも。正直私も、2人がヤっちゃうシーンでは、シロが人間じゃないことよりも、まだ子供のような少年の姿であることの方が気になったくらいだし。おいおい、そんな子供に手を出しちゃうのかい…と(笑)
ま、人間じゃないことを気にしない代わりに、ちゃんと別の問題を用意して切ない展開も見せてくれたんで、それで満足ですよ。
ところで、「エトワ」はエトワール(フランス語で星)から来てるのかな、と思うんだけど、なぜ人造人間を指す言葉が「レプリカント」なんだろう…アンドロイドとかヒューマノイドとかの方が一般的な言葉のような…。「レプリ」の方が響きが良いからかな。別にガチガチのSF漫画じゃないし、構わないんだけども。
それにしてもエトワの少年たちは可愛いなぁ! 私も少年型エトワが欲しいわ。そして一心に慕われたいわ。
先週は本買いスイッチが入ってた
- 2008.09.22 Monday
- 8.雑記
- 21:05
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- by shiroii
先週(9/14〜9/20)の1週間で、20冊の本(ほとんど漫画)を買ってしまった…。しかも古本じゃなくて全部新品! それくらい普通だよー、という読書家の方もいらっしゃるでしょうが、私にしたら買いすぎです…。今もまだスイッチ入りっぱなしで、買いたくてしょうがないんですが、一応ガマンしてます。
とりあえず先週買った本を並べてみた。
これには写ってないけど、BGMのVOL.8と麗人2008年9月号も買ってます。
とりあえず先週買った本を並べてみた。
これには写ってないけど、BGMのVOL.8と麗人2008年9月号も買ってます。
おのぼり物語 カラスヤサトシ
- 2008.09.20 Saturday
- 1.[感想]漫画単行本
- 21:09
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- by shiroii
おのぼり物語
カラスヤサトシ
(BAMBOO COMICS/竹書房)
あー、こんなにわんわん泣いて読むとは思わなかった。まるで自分のことを見ているよう……というのは言い過ぎとしても、かなりの部分に共感した。…共感しちゃって大丈夫なのか? 大丈夫じゃなかったとしてもしちゃった事実は変わらないわけだが。
何事もなさずにウダウダと過ぎていく日々にうっすらと不安を抱きつつ、この先いつまで親が元気でいてくれるだろう、なんてふと考えたり。読みながら思いを巡らせてもみたけれど、でも、そんなにどんより暗い気持ちになったわけではなく。日常の「あるある!」「わかるわかる」と「アホやなぁ」の取り上げ方はアフタヌーンの『カラスヤサトシ』と同じく見事なもの。カラスヤ青年の上京物語として楽しく読みました。
それにしても、ずっと漫画を描き続けてたのはすごいなぁ、と思う。「子供の頃から人並みに物事がこなせなかったので、1人でできるマンガ家になりたかった」というようなことが作中に描かれていたけれど、そう思ってそれをやり通したのがすごい。私などとんでもなくどんくさい人間なので、1人でできる仕事がしたい…というのはよくわかる。作家を夢見たこともあった。でも結局は書き続けるだけの熱意もなく、夢は遠い夢のままだ。本気で努力と行動ができる人は偉い。1人でできる仕事だからってのもあるだろうけど、やっぱり漫画が好きなんだろうなぁ。
◆『萌道』の感想はこちら
カラスヤサトシ
(BAMBOO COMICS/竹書房)
あー、こんなにわんわん泣いて読むとは思わなかった。まるで自分のことを見ているよう……というのは言い過ぎとしても、かなりの部分に共感した。…共感しちゃって大丈夫なのか? 大丈夫じゃなかったとしてもしちゃった事実は変わらないわけだが。
何事もなさずにウダウダと過ぎていく日々にうっすらと不安を抱きつつ、この先いつまで親が元気でいてくれるだろう、なんてふと考えたり。読みながら思いを巡らせてもみたけれど、でも、そんなにどんより暗い気持ちになったわけではなく。日常の「あるある!」「わかるわかる」と「アホやなぁ」の取り上げ方はアフタヌーンの『カラスヤサトシ』と同じく見事なもの。カラスヤ青年の上京物語として楽しく読みました。
それにしても、ずっと漫画を描き続けてたのはすごいなぁ、と思う。「子供の頃から人並みに物事がこなせなかったので、1人でできるマンガ家になりたかった」というようなことが作中に描かれていたけれど、そう思ってそれをやり通したのがすごい。私などとんでもなくどんくさい人間なので、1人でできる仕事がしたい…というのはよくわかる。作家を夢見たこともあった。でも結局は書き続けるだけの熱意もなく、夢は遠い夢のままだ。本気で努力と行動ができる人は偉い。1人でできる仕事だからってのもあるだろうけど、やっぱり漫画が好きなんだろうなぁ。
◆『萌道』の感想はこちら
どうしても触れたくない ヨネダコウ
- 2008.09.18 Thursday
- 2.[感想]BL漫画単行本
- 20:24
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- by shiroii
どうしても触れたくない
ヨネダコウ
(ミリオンコミックス CRAFT SERIES/大洋図書)
BLってロマンチックだよねー(ギャグだってコメディだってBL作品はロマンチックだと思う)。私はロマンチックを求めてBLを読んでるのかもしれん。…なんてことを考えていた今日この頃。そのせいか、読んでいて妙にによによニヤけてしまうのが止められなかった。別に笑って読むような内容でもなかったんだけど。
要素を挙げるなら「上司×部下」「ノンケとゲイ」「同性カップルの将来」とか「暗い過去」とか。木原音瀬が帯に寄せている推薦文の通り「シンプルなストーリー」で新奇なものはないのだけど、この分厚い単行本まるまる1冊使ってじっくり描ききった物語はなかなか読ませます。出会って、好きになって、考えて迷って、でもやっぱり結論はシンプルに「好き」。どんなに言葉を尽くしても、その一言に全てさらわれてしまう。あー、気持ちいいなぁ。この安心感!信頼感! 揺るぎない愛情が真実であることがはっきりわかるのが、フィクションの良いとこだよね。
神は細部に宿ると言うけれど、BLに限らず恋愛漫画ってストーリーの大枠はだいたい定まっているので、どう見せるか、というのが重要だと思う。漫画は絵で表現できる分、文章(小説)よりもその傾向が強いのじゃないかしら。斬新な筋書きでなくても、絵や、コマ割りなどの画面構成、キャラクターの表情、そういう細かい積み重ねで、全体の雰囲気を作ることができる。この漫画はそれがすごく良かった。『図書委員の恋』の感想で、「表面的な切ないっぽさ」に対する警戒心、みたいなものについて少し書いたのだけど、それは短編と長編との違いもあるのかもしれないなぁ、と思った。この作品のように1冊分たっぷりページを使って、順を追ってじっくり丁寧に描かれていれば、登場人物の心情も無理なく理解できるし、誠実な話運びには説得力がある。
それから、キャラクター造形が良かった。外川の明るさや積極性が、暗くなりそうな雰囲気を引き上げて読みやすくしていたし、脇役の小野田も良い役回りだった。『暫定、恋人』の感想でも書いたけど、私自身、一見ガサツっぽいけど明るくて優しくて気遣いのできる素敵な上司がいたことがあるので、外川みたいな上司を出されると弱い。
ヨネダコウ
(ミリオンコミックス CRAFT SERIES/大洋図書)
BLってロマンチックだよねー(ギャグだってコメディだってBL作品はロマンチックだと思う)。私はロマンチックを求めてBLを読んでるのかもしれん。…なんてことを考えていた今日この頃。そのせいか、読んでいて妙にによによニヤけてしまうのが止められなかった。別に笑って読むような内容でもなかったんだけど。
要素を挙げるなら「上司×部下」「ノンケとゲイ」「同性カップルの将来」とか「暗い過去」とか。木原音瀬が帯に寄せている推薦文の通り「シンプルなストーリー」で新奇なものはないのだけど、この分厚い単行本まるまる1冊使ってじっくり描ききった物語はなかなか読ませます。出会って、好きになって、考えて迷って、でもやっぱり結論はシンプルに「好き」。どんなに言葉を尽くしても、その一言に全てさらわれてしまう。あー、気持ちいいなぁ。この安心感!信頼感! 揺るぎない愛情が真実であることがはっきりわかるのが、フィクションの良いとこだよね。
神は細部に宿ると言うけれど、BLに限らず恋愛漫画ってストーリーの大枠はだいたい定まっているので、どう見せるか、というのが重要だと思う。漫画は絵で表現できる分、文章(小説)よりもその傾向が強いのじゃないかしら。斬新な筋書きでなくても、絵や、コマ割りなどの画面構成、キャラクターの表情、そういう細かい積み重ねで、全体の雰囲気を作ることができる。この漫画はそれがすごく良かった。『図書委員の恋』の感想で、「表面的な切ないっぽさ」に対する警戒心、みたいなものについて少し書いたのだけど、それは短編と長編との違いもあるのかもしれないなぁ、と思った。この作品のように1冊分たっぷりページを使って、順を追ってじっくり丁寧に描かれていれば、登場人物の心情も無理なく理解できるし、誠実な話運びには説得力がある。
それから、キャラクター造形が良かった。外川の明るさや積極性が、暗くなりそうな雰囲気を引き上げて読みやすくしていたし、脇役の小野田も良い役回りだった。『暫定、恋人』の感想でも書いたけど、私自身、一見ガサツっぽいけど明るくて優しくて気遣いのできる素敵な上司がいたことがあるので、外川みたいな上司を出されると弱い。
flat 1巻 青桐ナツ
- 2008.09.17 Wednesday
- 1.[感想]漫画単行本
- 21:58
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flat 1巻
青桐ナツ
(BLADE COMICS avarus/マッグガーデン)
ほにゃ〜〜、可愛いよぅ〜。と、読み終えてすっかりフニャフニャのアホになっております。これは良い。まったり、というのも、ほのぼの、というのも微妙に違う気がするんだけど、適当な形容が思い浮かばない。
子供らしからぬ忍耐強さの子供、なんて説教臭が漂ってきそうなモチーフだけど、いい具合にフィクションでゆるいコメディで、まったくストレスなく読める。こういう漫画の子供って、現実の子供と比べたら全然違うのにどこかリアリティが感じられて、実際身近にいる子供のことを思い出して一層いとおしい気持ちになる。これまで、懐いてまとわりついてくる姪が煩わしくて冷たくあしらってしまうことがあったのをちょっと反省した。小さな子供だって、何気ない言葉や態度に傷つくこともあるのだから。
あと、主人公の平介がお菓子作り好きなのも、同じ趣味の自分の弟を想起させて、より親しみを持って読んだ。
ところで、第1話はタチキリのコマが多いけど、後の話はきちんと四角く枠線を引いて絵を収めているコマが多くなってるね。これは何らかの意図があってのことなのかなぁ。
青桐ナツ
(BLADE COMICS avarus/マッグガーデン)
ほにゃ〜〜、可愛いよぅ〜。と、読み終えてすっかりフニャフニャのアホになっております。これは良い。まったり、というのも、ほのぼの、というのも微妙に違う気がするんだけど、適当な形容が思い浮かばない。
子供らしからぬ忍耐強さの子供、なんて説教臭が漂ってきそうなモチーフだけど、いい具合にフィクションでゆるいコメディで、まったくストレスなく読める。こういう漫画の子供って、現実の子供と比べたら全然違うのにどこかリアリティが感じられて、実際身近にいる子供のことを思い出して一層いとおしい気持ちになる。これまで、懐いてまとわりついてくる姪が煩わしくて冷たくあしらってしまうことがあったのをちょっと反省した。小さな子供だって、何気ない言葉や態度に傷つくこともあるのだから。
あと、主人公の平介がお菓子作り好きなのも、同じ趣味の自分の弟を想起させて、より親しみを持って読んだ。
ところで、第1話はタチキリのコマが多いけど、後の話はきちんと四角く枠線を引いて絵を収めているコマが多くなってるね。これは何らかの意図があってのことなのかなぁ。
2008年10月の購入予定
- 2008.09.16 Tuesday
- 6.購入予定
- 21:18
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予定は未定。必ず買うとは限らないけど多分買うであろう漫画のリストです。
わがまま戦隊ブルームハート! 1〜2巻 石田敦子
- 2008.09.14 Sunday
- 1.[感想]漫画単行本
- 22:45
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- by shiroii
わがまま戦隊ブルームハート! 1〜2巻
石田敦子
(BIRZ COMICS/幻冬舎)
2巻を読んでから1巻を読み返すと、ゆりちゃんの優しい言葉や前向きな言葉のひとつひとつに、涙が出そうになる。「頑張ったね」って言ってもらえなくて、それでも頑張って頑張って、優しく前向きに振る舞っていたゆりちゃん。こんなに優しい子が、あんなに変わってしまったように見えるくらい、追い詰められてしまったんだ。
途中から、ページをめくる手が重くてしようがなかった。2巻の71ページ、21話の扉で、一度完全に手が止まってしまって、本を閉じて息を吐いて、えいっと決心してから、また読み始めた。「誰かのかわり」って、重い、重い言葉だ。理屈はつけられるけど、そうする方が良いのかもしれないけど、気持ちの上で納得できるものじゃない。
ああもう、次々に気が重くなるような事態を、言葉を突き付けられて、考えて、途方にくれてしまう。彼女らはまだ小学3年生で、正義に含まれている矛盾とか欺瞞とか、指摘されるまでは思ったこともなかったのだろう。私たちは、というか、多くの大人はきっと気づいていて、考えてみたこともあって、でもなんとなくどこかで適当に線を引いているのだろう。けれど、自分が何かの事件に巻き込まれたなら、どうだろう。そうだ、以前、同居人が轢き逃げに遭ったことがあって、今も犯人は捕まっていないのだけど、そのことを考えると私は冷静ではいられなかった。犯人が見つかったなら、どうにかして同居人の味わった苦痛をわからせてやりたいと思うとき、心には確かに犯人への憎しみが溢れていた。今はもう、ずいぶん時間が経って過激な考えは薄れ、反省して謝ってほしいと思うくらいになったけど、実際に目の前に犯人がいたらどうかはわからない。
作中の、「すべてに答えはない」という言葉は、今のところの自分の気持ちと近いように思える。でも、ネオ・ブルームたちのそれは、方向性が後ろ向きなんじゃないか。答えがない、と思うことを、前向きにとらえることもできるんじゃないか。ブルームハートの女の子たちは、この作品は、どんな答えを選ぶのだろう。
石田敦子
(BIRZ COMICS/幻冬舎)
2巻を読んでから1巻を読み返すと、ゆりちゃんの優しい言葉や前向きな言葉のひとつひとつに、涙が出そうになる。「頑張ったね」って言ってもらえなくて、それでも頑張って頑張って、優しく前向きに振る舞っていたゆりちゃん。こんなに優しい子が、あんなに変わってしまったように見えるくらい、追い詰められてしまったんだ。
途中から、ページをめくる手が重くてしようがなかった。2巻の71ページ、21話の扉で、一度完全に手が止まってしまって、本を閉じて息を吐いて、えいっと決心してから、また読み始めた。「誰かのかわり」って、重い、重い言葉だ。理屈はつけられるけど、そうする方が良いのかもしれないけど、気持ちの上で納得できるものじゃない。
ああもう、次々に気が重くなるような事態を、言葉を突き付けられて、考えて、途方にくれてしまう。彼女らはまだ小学3年生で、正義に含まれている矛盾とか欺瞞とか、指摘されるまでは思ったこともなかったのだろう。私たちは、というか、多くの大人はきっと気づいていて、考えてみたこともあって、でもなんとなくどこかで適当に線を引いているのだろう。けれど、自分が何かの事件に巻き込まれたなら、どうだろう。そうだ、以前、同居人が轢き逃げに遭ったことがあって、今も犯人は捕まっていないのだけど、そのことを考えると私は冷静ではいられなかった。犯人が見つかったなら、どうにかして同居人の味わった苦痛をわからせてやりたいと思うとき、心には確かに犯人への憎しみが溢れていた。今はもう、ずいぶん時間が経って過激な考えは薄れ、反省して謝ってほしいと思うくらいになったけど、実際に目の前に犯人がいたらどうかはわからない。
作中の、「すべてに答えはない」という言葉は、今のところの自分の気持ちと近いように思える。でも、ネオ・ブルームたちのそれは、方向性が後ろ向きなんじゃないか。答えがない、と思うことを、前向きにとらえることもできるんじゃないか。ブルームハートの女の子たちは、この作品は、どんな答えを選ぶのだろう。
本棚整理
- 2008.09.12 Friday
- 8.雑記
- 23:24
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- by shiroii
昨夜、寝入ってからわずか1時間で目が覚めてしまい寝つけなかったので、起きて本の整理をしました。いい加減な性分なので、まったく分類だの整頓だのせずに、買ってきた順にがんがん本棚に突っ込んでいたのですが、さすがにゴチャゴチャしてきたなーと思いまして。未読本も既読本も一緒くたにしていたのですが、今回、わけて数えてみたら未読本は漫画と小説合わせて33冊ありました。思ってたより多くてびっくり。
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- あたし彼女 kiki (09/29)
- 空色動画 2巻 片山ユキヲ (09/27)
- 『かわいいビースト』『エトワ』つげ雨夜 (09/24)
- 先週は本買いスイッチが入ってた (09/22)
- おのぼり物語 カラスヤサトシ (09/20)
- どうしても触れたくない ヨネダコウ (09/18)
- flat 1巻 青桐ナツ (09/17)
- 2008年10月の購入予定 (09/16)
- わがまま戦隊ブルームハート! 1〜2巻 石田敦子 (09/14)
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