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『此処彼処』川上弘美

(新潮文庫)

具体的な地名を挙げて、そこにまつわる思い出をつづるエッセイ集。

著者のこれまでのエッセイでも、子供の頃の思い出や、若い頃にあった出来事が書かれていたことは当然あったけれど、それらは皆、どこか夢の中の出来事のようだった。私のイメージの中の川上弘美は、模糊としていて、それこそ彼女の小説に登場する不思議な生き物(あるいは生き物ではない何か)達と同じようにしか、捉えられなかった(テレビ出演している姿を見たことがあるのにもかかわらず!)。

それが、この『此処彼処』では、固有名詞を挙げているからというわけでもないだろうが、著者の生活、人生が現実感を持って感じられた。子供の頃のアメリカ暮らし、病気の話、かつて付き合った男の子達、新婚旅行……これまでにも同じようなことは語られていたけれど、これまでよりも具体的に語られていると感じた。特に、人付き合いのままならなさにくよくよしたり、お説教されるのがいやだと感じたりする文章に、これまでになく著者を身近に感じた。

彼女の小説(特に短編小説)の、ふわふわとした、現実からの奇妙な浮遊感がとてもとても好きなのだけど、今回は初めて「川上弘美」の確かな輪郭を捉えることができたような気がして、これはこれでたいへん楽しく読んだ。いつもと少し違う感じ、という点をここまで書いてきたが、読み心地の良いやさしい文体はいつも通りで、彼女のエッセイを読んでいると心に余裕が生まれてくるのだった。

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