<< 『でもくらちゃん』なかせよしみ | main | 『ベルとふたりで 1巻』伊藤黒介 >>

スポンサーサイト

  • 2012.10.01 Monday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


『カンゴク69』阿仁谷ユイジ

(ジュネットコミックス ピアスシリーズ/ジュネット)

阿仁谷ユイジがジュネットで…!! どんなエロエロになってるのかしら♪と期待にワクワクしながら読んでみたら……素晴らしい! さすがに期待を裏切らない!! どちらかというとエロ面白いのを予想していたのだけど、思いがけずエロ切ない物語で、不意打ちをくらってメロメロになってしまった。

『ナイチンゲールは夜に啼く』と『カンゴク69』の2本立て。前者が切ない感じで、後者はコメディ色強し。かなりこまごまと感想を書いたので、ネタバレ気味です。お気をつけ下さい。

『ナイチンゲールは夜に啼く』は、オスカー・ワイルドの『ナイチンゲールとバラ』をモチーフにした話。夜ごと愛の歌を歌いながら本当の愛や恋を知らなかったナイチンゲールが「真実の恋」のために自らを捧げるあの悲しい物語を、阿仁谷ユイジ流のBLにし、しかもハッピーエンドを見せてくれる。かつて『ナイチンゲールとバラ』を読んだとき、その報われないラストに呆然とし、無垢で哀れなナイチンゲールを救ってやりたいと思ったものだ。だから、この漫画のナイチンゲールである主人公・愛仁の恋の成就がいっそう嬉しく感じられた。ナイチンゲールに愛の報いを、真実の恋を与えてくれたことに、感謝したい気持ちにさえなった。

そして、ナイチンゲールと並んで重要な存在のバラ。こちらは『ナイチンゲールとバラ』とは大きく違って、直接の筋立てには深く関わってこない。衛太郎に一目惚れした愛仁の目に、バラが咲き乱れて見えるのだ。恋に落ちたことを表現するのに、背景に花を咲かせるなんて、言葉で説明すれば古典的な、よくある表現のようだが、いやいや、ぜひ実際に漫画を見てほしい! これがものすごく美しく、印象的なのだ。さらに、愛仁が衛太郎を見たり、恋に悩んだりするたびにバラが描かれ、作中でバラが真実の恋と愛の象徴であることを印象づける。原案とは違ったオリジナルな用い方でありながら、その意味するところは変わらず伝えていて、阿仁谷ユイジの抜群のセンスの良さを感じた。


まだ感想文は続きますが、長くなったので一旦たたんでおきます。「続きを読む」から続きをどうぞ。
さて、ここまでは『ナイチンゲールとバラ』に絡めて書いてきたけど、それ以外にも見るべきところはあって、それはたっぷりと描かれたエロシーン! 愛仁の仕事は男性客専門のデリバリーイメヘルで、客の要望に応じて様々なコスチュームに身を包んでイメージプレイを行う。この仕事の場面が、冒頭からいきなりエロっちく描かれ、その後も何人もの客との、犬だのお医者さんだの赤頭巾ちゃんだのと、趣向を凝らしたイメージプレイが詳細に描かれる。これが、どれも短いページ数ながらきっちりエロくて、すごくクオリティが高い。こんなふうに物語のほんの一部にしておくのが惜しいほどの出来栄えで、ひとつひとつのプレイを1話ずつ短編に仕立ててエロ漫画(成年漫画)の単行本として出してほしい!とすら思った。しかも、それだけ複数人との濃厚な場面がありながら、愛仁の衛太郎に対する恋心が、純粋で一途なものにきちんと見えるのが上手い。むしろ、多くの人を相手にしているからこそ、唯一好きな相手と他の客との違いがよく表れているとさえ言える。いつも笑って嬉しそうに仕事をこなしてきた、客の言う通りの役割を演じてきた愛仁が、衛太郎の前では何も演じられなくなってしまう。「これが恋だよ」と悲しく笑った寧々哉の言葉通りに。そして、素の“伊賀愛仁”として衛太郎と結ばれる場面がとても特別なものとして胸を打つのだ。

さてさて、表題作の『カンゴク69』の方は、全寮制の予備校を舞台にした童貞初恋物語(笑) たっぷりエッチでリバもあるよ★の楽しい内容なのだけど、ヤルことヤッてても純真な2人が微笑ましくて、その恋を応援したくなる。こんなふうにお互いが大好きなのって良いなぁ。描き下ろしの後日談もたっぷり14ページあって、本編と変わらぬ濃密さで読ませてくれる。恋人同士の別れる別れないなんて、外から見たらくだらないようなことだけど、当人達は真剣に悩んでるものだよね。…読んでて、自分の昔の恋のこととか思い出してしまった。

当人達はいたって真剣なんだけど、他人から見ればそれほどのことでもない、っていうのを、三つ子を使ってコメディチックに描いてるのが上手いなぁ、と思う。もし三つ子の存在がなかったら、内容の割に作品の雰囲気がシリアスになりすぎてしまって、読んでいて冷めてしまうことになりかねなかったんじゃないかしら。

レーベルのカラーを守ってきっちりエロいのは期待通り、それに加えて切ない物語にも、華やかで繊細で計算された表現にも、期待以上に楽しませてもらった。読むほどに阿仁谷ユイジという漫画家に惚れてしまう。ああ、BL漫画が好きで良かった!
『ナイチンゲールは夜に啼く』は、単体でも充分楽しめる作品ですが、『ナイチンゲールとバラ』を読んでいればまた違った感じ方が出来るし、より楽しめると思いますので、『ナイチンゲールとバラ』を未読の方はぜひ読んでみることをお勧めします。


◆『刺青の男』の感想はこちら
◆『ミスターコンビニエンス』の感想はこちら

スポンサーサイト

  • 2012.10.01 Monday
  • -
  • 23:17
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM